2021年1月20日 / 最終更新日 : 2020年12月20日 ちひろ 言葉の切れ端 シンプルの定義みたいなもの[言葉の切れ端195] シンプルであるということは、そっけないというのとは全然ちがう。そこには無駄がないが、同時に不親切や冷たさもない。 柔らかく親切で、温かく、でも決して言いすぎないこと。 それは受け取り手の想像力を奪わないための謙虚さと心配 […]
2021年1月17日 / 最終更新日 : 2020年12月20日 ちひろ 言葉の切れ端 世界じゅうの本がみんな電子化したら[言葉の切れ端194] 世界じゅうの本がみんな電子データになる。 図書館に行かなくても、家から本が借りられるようになる。 ばい菌の心配がある洋書だって、もう輸入しなくたっていい。 作家は揃って国家公務員になり、それでも経費が余りすぎるくらい流通 […]
2021年1月14日 / 最終更新日 : 2020年12月20日 ちひろ 言葉の切れ端 何もかもから逃げたくなる[言葉の切れ端193] 何もかもから逃げたくなる。でも逃げられないのは、逃げたところで事態が少しでもましになるとは到底思えないからだ。 怖くはない。疲れているだけだ。 だんだん腹が立ってくる。でもあまりに疲れていて、うまく腹を立てることができな […]
2021年1月11日 / 最終更新日 : 2020年12月20日 ちひろ 言葉の切れ端 あとからは何とでも言えるさ[言葉の切れ端192] いろんなものごとが何もかもうまく運んでいるとき、二つの考え方がある。 ひとつは、これはツキが回ってきたってことなんだと捉えて、流れに身を任せてみること。もうひとつは、これは罠なんだと捉えて、用心に用心を重ねて慎重になるこ […]
2021年1月8日 / 最終更新日 : 2020年12月20日 ちひろ 言葉の切れ端 無駄のダイアモンド[言葉の切れ端191] 無駄はよくない。無駄も時には必要だ。無駄にこそ人生のうまみが宿る。 どれが間違っていて、どれが正しいというものでもないだろう。 では、残しておくべき無駄と、本当に役に立たない望まれざる無駄に分けてみるのはどうだろう。 残 […]
2021年1月5日 / 最終更新日 : 2020年12月20日 ちひろ 言葉の切れ端 幸せと真実と絶対[言葉の切れ端190] 幸せは現実の中にはない。これは疑いようのない真実だ。 ところで真実というのは、万人が納得できる法則、というのと同義語ではないよ。むしろ誰ひとり納得しないことさえある。真実というのは、この世で数少ない絶対的存在かもしれない […]
2021年1月2日 / 最終更新日 : 2020年12月20日 ちひろ 言葉の切れ端 折れた鉛筆の教訓[言葉の切れ端189] 子供が三人、取っ組み合いのけんかをしていた。生死にかかわるんじゃないかってくらい、激しくさ。 そこに男が通りかかってよくよく聞いてみると、彼らは一本の鉛筆を争っていたんだ。 男はその鉛筆をしげしげと眺めた。何の変哲もない […]
2020年12月30日 / 最終更新日 : 2020年12月20日 ちひろ 言葉の切れ端 本物を見つけたときの安堵[言葉の切れ端188] 世の中に本物はいる。ちゃんといる。山奥なんかじゃなくね。 彼らは目立ちすぎず、かと言って捨て置かれているわけでもなく、ちゃんと愛されている。にこにこして、赤ん坊みたいに暮らしている。安心してさえいるように見える。 彼らの […]
2020年12月27日 / 最終更新日 : 2020年12月29日 ちひろ 言葉の切れ端 安心しておやすみ[言葉の切れ端187] 動かないものを、無理に動かそうとしなくていい。そのためのエネルギーは、どうしたって蛍光灯に似てくるから。 おひさまが燃え尽きてしまうまで、夜は眠っているのがいい。それまでは、休息は堕落にはならないから。 安心しておやすみ […]
2020年12月24日 / 最終更新日 : 2020年11月25日 ちひろ 言葉の切れ端 情報収集がうまい彼の落ちた穴[言葉の切れ端186] 自分で見て、触って、感じて、経験して。 そうして判断して結論していくようにしないと、もう彼らの思い通りになっちゃうよ。 情報収集は逆効果なんだ。わかるね?
2020年12月21日 / 最終更新日 : 2020年11月25日 ちひろ 言葉の切れ端 変わってしまったホットケーキ[言葉の切れ端185] しゅわしゅわとして、口の中で溶けるようなパンケーキなんてお呼びじゃないのだ。 みしみしとしたホットケーキを求めて、私はマロンに来ている。 そう伝わってしまえばいいのにと思いながら、渾身のしかめ面で新しくなったつるつるのメ […]
2020年12月18日 / 最終更新日 : 2020年11月25日 ちひろ 言葉の切れ端 生きているということ[言葉の切れ端184] 桜のつぼみだとか、やわらかな新芽だとか、喉の奥にふと届く金木犀だとか。 鯉のぼりのうろこみたいな雲だとか、新しい竹の子だとか。 ぱりぱりのスーツだとか、ちくちくのマフラーだとか、分厚い布団だとか。 それが生きているという […]
2020年12月15日 / 最終更新日 : 2020年11月25日 ちひろ 小さなお話 不満や文句を言うのに疲れちゃったら[小さなお話64] 「不満や文句を言うのは簡単だよ、もちろん」柚月さんが眉を下げる。悲しそうなのか愛おしそうなのかわからない。 僕はすがるように彼女の目を見て、視線を逸らさずに彼女の手を握る。柚月さんはそれを拒むこともなく、だからって握り返 […]
2020年12月12日 / 最終更新日 : 2020年11月25日 ちひろ 言葉の切れ端 私を元気づけないで[言葉の切れ端183] 私を元気づけようと頑張らないでほしい。 私は今、乾いた土に水をやっているんだから。散らかった部屋のものたちを、ひとつひとつもとの場所へしまっているんだから。息を吸うことを思い出しているんだから。 そうすればまた、元気は戻 […]
2020年12月9日 / 最終更新日 : 2020年12月9日 ちひろ 言葉の切れ端 理解されたいのか?ううん、[言葉の切れ端182] 至極まともな狂気。その正当性を証明するべく、私は書いているのだ。 書くしか方法を知らないから。 ただ狂ってしまうだけでは、誰にも理解されないから。 誰かに理解されたいのか? ううん、誤解を解きたいだけなのだ。 愛にも自己 […]
2020年12月9日 / 最終更新日 : 2020年12月9日 ちひろ 日々のつぶやき ペーパーバック書籍を出版しました。 Kindle版にて発売していた『レモンドロップの形をした長い前置き』が、紙の書籍でも読めるようになりました! POD(プリント・オン・デマンド)という発売形態で、ご注文のたびに印刷する方法です。そのために印刷費用が高くつ […]
2020年12月6日 / 最終更新日 : 2020年11月13日 ちひろ 小さなお話 実のならない蜜柑の木[小さなお話63] 「実のならない蜜柑の木ってあるのかしら」咲樹がそう言うと、、カーテンのレースが風に揺れた。 「あるかもしれない。あるいは、そんな年もあるかもしれない」私は応える。 「それじゃ、蜜柑の木は何のためにせっせと葉っぱや花をつけ […]
2020年12月3日 / 最終更新日 : 2020年11月13日 ちひろ 小さなお話 営業スマイル[小さなお話62] 「料理が嫌いなわけじゃないのよ」彼女は言う。 「掃除機をかけるのも、洗濯を干すのも、買い物に行くのも。そりゃあ、面倒なときだってあるわよ。当然よね。いつだってお天道さまに今日の命を感謝して生きていられるほど、人間できちゃ […]
2020年11月30日 / 最終更新日 : 2020年10月25日 ちひろ 言葉の切れ端 名前を持たないということ[言葉の切れ端181] 名前を持たないということは、とても自由であることなのだ。まだ誰にも見つけられていない。誰とも関係を結んでいない。 それは名前を捨てるときのような孤独も伴わず、ただのびのびと存在することなのだ。 分類も意味もなく、ただ。
2020年11月27日 / 最終更新日 : 2020年10月25日 ちひろ 言葉の切れ端 形あるもの、残っていくもの[言葉の切れ端180] いつか壊れる、自然に還ってゆく、失くなってゆく、その「形あるもの」とは一体どこからどこまでを指すのだろう。そして、あとに残るものは何なのだろう。「形ないもの」とは、いったいぜんたい、どんな形をしているのだろう。 私の食べ […]