兄さんに渡したもの。[言葉の切れ端006]

「革命だよエヴァ」と兄さんは言った。
「革命には、起こるべき時期というものがある。その対象や場所、方法はさしたる問題ではない。正しい時期さえ見逃さなければ、そいつはちゃんと起こるんだよ」

その時の兄さんの目は、いつもの兄さんではなかった。
でも私は、すべてを受け入れて小さく肯き、迷いなく自分の左目をくり抜いて兄さんに渡した。

兄さんは愛おしそうに私を撫ぜた。

「ありがとうエヴァ。これで革命は正しく終わる」

私はできるだけ嬉しそうに見えるよう、痛みをこらえて肯いた。
もう声は渡してしまったあとだったから、言葉はなかった。

それが私たちの愛のかたちだった。

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