朝にネオンを作り出せるのは。[言葉の切れ端007]

カーテンを開けた瞬間、ぼくは思わず息を呑んだ。

この遠い街の名前も知らない川には、白い光が散りばめられていた。
ぼくの失われかけた視力からは、それはまるでクリスマスの飾りみたいに見えた。
朝にネオンを作り出せるのは、太陽しかないのだ。

おそらくこの光は、ぼくがかつての場所で生きていた頃にもそこら中にあったんだろう。

ぼくは眼鏡をかけてあまりにも急いでいたから、夜の光しか頼りにするものがなかったのだ。

そうするうちに雲がやってきて、光は一瞬のうちに消えた。
ぼくはカーテンを半分だけ開けたままにして、朝食代わりにりんごをかじった。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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