洞窟の幸福[言葉の切れ端019]

洞窟の幸福[言葉の切れ端019]

私たち、洞窟に暮らしてたのよ。

最後に出ていくときに彼女が言った。

あたたかくて暗いの。
出口も入口もなくて、おかげで私たちは動き回らなくていいの。
そこにじっとしているだけで、幸福なの。
空気が薄くなっていく以外は、完璧な住処なのよ。

彼女はこちらを向いていなかった。

緩やかにそこで土になっていくのを拒んだのは、あなたよ。