守り人と侵入者[言葉の切れ端021]

ごく普通の寒冷地として穏やかな日常を何百年も守り抜いてきたこの国は、ある日突然外からの侵入者たちによって、滅ぼされてしまった。
彼らの国に生えるオレンジ色の白樺が欲しかったのだ。

侵入者たちは、武器を携えて突然やってきて、何もかも奪ってしまう。
弱者のものが欲しいときは、そうするのが一番手っ取り早いからだ。

そうして適切な守り人たちを失った白樺たちは枯れ、侵入者たちも飽きて出て行ってしまった。それがこの土地さ。

シアンは無機質にそう言って、目の前の灰色の、その向こう側を眺めた。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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