素直になれなくて[言葉の切れ端024]

素直になれなくて[言葉の切れ端024]

「まりちゃんは?」あたしが温めた魚の煮付けを出すと、夫は言った。
「まりちゃんはもう、ごはん食べたの」

「待ってたほうがよかった? 夜の十時まで、おなかすかせて、いつまで待てばいいかも知らずに」

あたしの声は冷たい。
食べた、とただそれだけ言えばいいのに、十五時間ぶりヒトとする会話のやり方を、思い出せない。

「ごめん」男は言って、小さくいただきますを言う。

あたしはこの人を愛しているのだ。