素直になれなくて[言葉の切れ端024]
- 2019.08.05
- 言葉の切れ端
![素直になれなくて[言葉の切れ端024]](https://i0.wp.com/kaedejune.net/wp/wp-content/uploads/2019/08/desperate-2293377_1280.jpg?resize=890%2C500&ssl=1)
「まりちゃんは?」あたしが温めた魚の煮付けを出すと、夫は言った。
「まりちゃんはもう、ごはん食べたの」
「待ってたほうがよかった? 夜の十時まで、おなかすかせて、いつまで待てばいいかも知らずに」
あたしの声は冷たい。
食べた、とただそれだけ言えばいいのに、十五時間ぶりにヒトとする会話のやり方を、思い出せない。
「ごめん」男は言って、小さくいただきますを言う。
ああ、あたしはこの人を愛しているのだ。
-
前の記事
黒猫との共通の話題[言葉の切れ端023] 2019.08.04
-
次の記事
無限空間への意識飛ばし[言葉の切れ端025] 2019.08.07
感想コメントを残していただけませんか?