無限空間への意識飛ばし[言葉の切れ端025]

思考停止だって?

つい今しがた、隣の惑星の訪問を受けたポールは苛立ちながら書類に判を押し始めた。
彼にとって、いやこの星に生息するすべての人間にとって、苛立ちという感情を経験するのは宝くじに当たるより珍しい。

人々の意識を特定の無限空間へ飛ばし、有限性が引き起こすすべての事象から価値を取り去ってしまうことで、命を絶つ者も戦争も飢えの苦しみも消えた。

不思議なことに、制約を取り去ったことで人々の思考は一定の方向へ集約した。

思考停止だって?

このシステムを維持するため、我々は二百万キロメートルも太陽に近づかなくてはならなかったのだ。

恒久的な平和のために。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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