姉妹弟きょうだい[言葉の切れ端035]

あんた、ちゃんと中野さんに電話したの? 妹が弟に言う。

いや、と弟が気怠そうに答える。

自分が将来、村の付き合いで連絡もできない人って思われちゃうわよ。
しなさい、面倒だろうけれど。岡本家の男子たるもの、避けては通れぬ道よ。

妹はいつもこんなふうに、うまく出来の悪い弟をたしなめる。
弟には、彼女のありがたみが今になってもわからないのだ。

そしてそれを二階で聞いている私は、信じられないことに、彼ら二人の姉なのだ。

書いた人

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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