姉妹弟きょうだい[言葉の切れ端035]

あんた、ちゃんと中野さんに電話したの? 妹が弟に言う。

いや、と弟が気怠そうに答える。

自分が将来、村の付き合いで連絡もできない人って思われちゃうわよ。
しなさい、面倒だろうけれど。岡本家の男子たるもの、避けては通れぬ道よ。

妹はいつもこんなふうに、うまく出来の悪い弟をたしなめる。
弟には、彼女のありがたみが今になってもわからないのだ。

そしてそれを二階で聞いている私は、信じられないことに、彼ら二人の姉なのだ。

The following two tabs change content below.
ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。