できればしてほしくないこと[言葉の切れ端043]

タバコ

「そして、これができればしてほしくないことのリストだ」

事務所がタレントに禁止することのリストのあとに、私のマネージャーとなる神埼が別の紙を机に置いた。

エゴサーチ、ショートヘア、不倫、自殺。

「できれば? 本当に?」私の声は、まだ私だけの声だ。

「君たちの基本的人権を尊重するのがうちの方針だ。それに君たちは、禁止されたことからまずやりたがる」

「なるほどね」

「ここに書いてあることは、君が比較的長い期間にわたって安全に活動するための心得みたいなものだと思ってくれればいい」

「例えば、マネージャーと恋愛しないとか?」私はそういう感じ・・・・・・で彼を見つめてみた。

「悪いが、僕はゲイだ」神崎は表情を変えずに言い放った。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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