仕事として書くこと[言葉の切れ端049]

作家

仕事で書く文章と、休みの日に書く小説は、そりゃもうぜんぜん違うの。

彼女はハイボールの三杯目を頼むと、いつもその話をした。

仕事の文章はね、何か一つのことを、いろんな人に向けてわかりやすく書くわけ。
そんで小説は、ごちゃごちゃしたたくさんのことを、自分がわかるように書くわけ。
ね、わかるでしょ?

それから彼女は職業的小説家になって、その二年後に死んだ。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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