閉館時間[言葉の切れ端083]

ずっとあとになって思い返せば、彼女との出会いは運命的と言ってよかったのかもしれない。

毎週水曜日か木曜日、午後になってからやって来て閉館まで滞在する。だいたいは窓際のカウンター席、そこが空いていなければ少し残念そうに中央のソファ席に座り、古典の棚から一冊選んで席につく。

それからまもなく、彼女は泣き出す。『更級日記』のどこかのページを読んで涙を流しているのだ。

「大丈夫ですか」僕は彼女に声をかける。彼女との出会いを期待してではなく、閉館準備のために利用者の退館を促す図書館員として。

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ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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