弱者の権利と政治家[言葉の切れ端100]

「人間は弱肉強食の世界に戻るべきだよ、他の生き物みたいに」

ぼくは選挙演説で声を枯らせた父さんにそう言った。投票日は二日後に迫っていた。

「弱者が権利ばかりを主張するようになってから、この世界はおかしくなったんだよ。平等に近づくほど、無秩序になっていく」

「きみは物書きになるといい」父さんはビタミンCののど飴のにおいがした。

「それか研究者だな。政治家と教師はやめておくことを勧める」

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

『レモンドロップの形をした長い前置き』
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