生きた人間と、死んだ動物。[言葉の切れ端104]

「好きな動物ねえ」その時のミカコはまだ、自分が死ぬことになるなんて思いもよらなかっただろう。

「ヘビ以外なら、なんでも大丈夫だけど」眉間にしわを寄せ、真剣に考えこんでいる。「あ、でも。死んだ人間も結構すきだな。平和な感じがするもの」

「じゃあ、苦手な動物は?」私は何かを読み取ろうとする。ミカコにあこがれているのだ。

「生きた人間と、死んだ動物。悲惨な感じがするじゃない」

「なるほど」

ミカコはにっこり笑って、立ち去ってしまう。彼女は私の好きな動物にも、苦手な生き物にも、興味がないのだ。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
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