うつという現象の使われ方[言葉の切れ端117]

うつ。
うつという病気? は、現代病だと言われる。
症状、つまり真理としてのうつは前からあったのか。
それとも現代のストレス社会(と呼ばれるもの)が作り出した新たな感情、そしてそれに付随する精神的、肉体的症状なのか。
暫定的結論、前者。
人間の深い深いところはそう簡単には変わらない。
では、なぜうつという現象が医者にかかるもの、つまり「病気」と認定され得たのか。
これは人間が進歩(と我々が考えるもの)によって、問題を解決しすぎてしまったから。少なくとも予定されていたスピードよりも早く。
だから何かしらの課題(つぎの進歩への肥やし)の発見に、この現象が使われたのだと。
いや、あるいはこの現象でさえも予定されていたと捉えることもできる。
つまりなにが言いたいかというと、あれこれ議論して得られた(と錯覚しているのかもしれない)結果、結論は自然の(大きな力のメタファーである)流れに依るものが大きく、人間の営みの最たる意義は、そこへのプロセス、いや、議論の白熱にこそあるのかもしれない。
もちろんそれがただの自己満足だとしても、人間はそれをやめることができない。
人であるために。
書いた人
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ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。
文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。
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