マルチタスクに向かない芸術[言葉の切れ端135]

映画や音楽はサブスクラブだかなんだかで垂れ流され、
好き好んで映画館に出かけるのは、暇を持て余した時間労働者だけになった。

芸術の質も、そりゃ落ちたかもしれない。
でも本当の問題はそこじゃない。

要は飽食の時代が来たわけだ。芸術の世界にも。
近いうちに、我々は芸術の受け皿としてダイエットを迫られるだろうね。

ところで、インスタント食品業界にもファストフード業界にも見向きもされない芸術を知っているかい?

小説だよ。

手も視界も割かなくてはならない小説はマルチタスクには向かないからね。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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