赤ん坊のような能力[言葉の切れ端148]

「じゃあ、映画が実質400円くらいで見れるってことですか。すげえっすね」

「しかも日本の映画館よりも空いているし、ソファの座り心地も圧倒的に良い」

「そんなんで経営やってけるんですか」

「タイは日本とは違う経済の成り立ちをしてるんでな」

「トオルさん、まだ旅つづけるんすか。もうこの八ヶ月で色んなこと、学べたんじゃないですか。みんなちょっとずつ不安になってますよ」

「まだだ。俺は赤ちゃんのような学習能力を目指しているからな」

「はい?」

「赤ちゃんを見てみろ。息をする、食事をする、排泄をする。これまで自分がいた環境と比べると海外移住どころではないくらい異世界なのに、何か要求をするとき以外は至ってポーカーフェイスだ。俺はそういうクールな学習能力を目指している」

「なるほど」

「でも経験すればするほど純粋な受け入れ能力は衰えていく。焦っているよ、正直」

「だから人は子供をほしがるんですかねえ。ある意味で師匠を持つような気持ちで」

「お前、良いこと言うな。映画おごってやるよ」

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ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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