ストレス耐性がないのか、ここがブラック企業なのか[言葉の切れ端170]

僕が感じているのは重圧ではない。ただの重力だ。
罵声はただの音声だし、眠気はただの酸欠だ。
そうだ、すべては記号に変換できる。

そこに勝手に解釈をつけて思い悩んでいたのは、僕の傲慢さに過ぎない。

よし。僕は顔を上げて目についたマトリョーシカを手にとる。
二つ隣の部署のパートの人が、土産物でくれたものだ。

僕の生きる意味は、今日からお前だ。僕はマトリョーシカに告げる。

お前になるたけ笑った顔を見せられるように生きてみるよ。

自分でも馬鹿げたことだと思ったけれど、どういうわけか気分が晴れた。
そしてその効果はもう二年半も続いている。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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