命を終わらせる許可制度[言葉の切れ端171]

「最高じゃないか」男は言った。

「これ以上、君が世界に望めることは残っていないね。何ひとつ。小豆ひと粒ぶんさえ。それで、君は本当に退屈しているのかね、不満はこれっぽっちもないと?」

「ありません。不満は、本当に、何も。幸福でも満足でもないですが」僕はできるだけつまらなさそうに答えた。

「よろしい。許可を与える」男はそう言って僕に致死量のアルメックスをくれ、僕の入っている器の蓋を閉めた。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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