本物を見つけたときの安堵[言葉の切れ端188]

世の中に本物はいる。ちゃんといる。山奥なんかじゃなくね。

彼らは目立ちすぎず、かと言って捨て置かれているわけでもなく、ちゃんと愛されている。
にこにこして、赤ん坊みたいに暮らしている。
安心してさえいるように見える。

彼らのうちのひとりを見つけたとき、君は安堵する。
哀れな同類を目にしたときのそれとは全く質の違う、強い光に似た安堵をね。

もし君がまだ当面のあいだはこの世界で生きていくつもりなら、その時を逃してはいけないよ。

書いた人

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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