保証も見返りもない、愛のことば[言葉の切れ端196]

たとえば君があそこに咲くコスモスになっても、
皿回しをする曲芸をする中国の猿になっても、
スーパーの棚に五百個も並ぶチョコレートのひとかけらになっても。

地球最後の日に吹く風になっても、
上から黒いペンキを塗られた緑になっても。

それでも僕はきっと君を探し出して、今みたいに愛すると思うな。

あたしはそのとき、あの人にそう言われてとても嬉しかったのだ。もうそれだけでいいや、なんて思えるくらいに。

同時に少し心もとなくもなった。
でもやっぱり、嬉しさのほうが勝っていたのだ。幸福とさえ言ってよかったと思う。

なんてったってあたしがそのとき使っていた名前は「緑」だったのだから。
あの人はそういうことがちゃんとできる人だった。

書いた人

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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