そういう類の暮らしなんて[言葉の切れ端225]

そういう暮らしを諦めたとき、僕はそういう類の暮らしなんてそもそものはじめから望んじゃいなかったんだと思うようになっていた。

そういう暮らし方をしている人たちを憎み、蔑んでもいた。

だから、万にひとつでもそういう暮らしが手に入ってしまわないように、慎重に生きてきた。
だってこれまで憎み蔑んできた生き方を自分がすることになったら、僕はその事実にうまく順応できないだろうと考えたからさ。

ところが、僕がまばたきをひとつするあいだに、僕の周りは突如「そういう暮らし」に囲まれるようになった。
そして僕は、その新しい暮らしに必死でしがみつく自分を見出すことになった。

どうだろう。
僕はやはり諦めきれていなかったのだろうか。

書いた人

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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