なにもかもがぜんぶなくなる世界を目指して[言葉の切れ端229]

喜びも悲しみも、心地よさも痛みも、空腹も満腹も、無駄遣いも節約も。

暖かさも凍えも、眠気も覚醒も、春も夏も秋も冬も。

興奮も退屈も。

そういうのがぜんぶぜんぶなくなる世界と生命体を、僕らは目指しているんだ。

ただ、それをいつまで経っても実現できないというだけで。

書いた人

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

『レモンドロップの形をした長い前置き』
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