秋が足音立ててやってくる

溶けるような、いや、焦げるような。

そんな暑さは和らいできました。

秋です。

そう。

すてきな秋がやって来ました。

夏女なわたしは、さむくなってゆく予感がとても苦手です。

それでも、秋は好きなのです。

年中いつも本は読んでいるから「読書の秋」と言えないし、
赤ん坊のように眠い時に眠っているから「睡眠の秋」とも言えないし、
季節ごとに大好きな食べ物がたくさんあるから「食欲の秋」でもないのだ。

どうして秋が好きなのだろう?

きっと秋は、たくさんのものが実を結ぶから。
そして、秋の色は控えめでおしとやかな近所のお姉さんみたいに美しいし、
秋のにおいは目をつむっていてもそこに金色の光が充ちていると感じさせてくれるくらい、あったかくて優しい。

きっと秋は、これからお日さまがどんどん短くなって、
あたたかい空気もどんどん冷たくなって、
そんな冬が来ることを知っているから、こんなにも優しいのだと思う。

だから秋は、夏じゃなくて秋に実りをもたらす。

動物も植物も、厳しい冬を乗り越えて新しい春に生命をつなげるように。

地球がどんなにおかしな天気になっても、彼岸花はきっかりお彼岸の日に花を咲かせる。

彼岸花

柿が色づく。

柿

小さな小さな金木犀の花は、その香りで存在を知らせる。

金木犀

植物は、皆知っている。
季節も、太陽の動きも、月の満ち欠けも。

人間は時計を持っているから、自分では知る必要がないんだろうなぁ。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
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冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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