お試し住宅生活を終えて、単身地方移り住みの難しさを思い知る

倉敷美観地区

岡山県倉敷市のお試し住宅を利用しながら、岡山県のどこかに移り住むためにいろいろ話を聞いて回る生活が終わりました。
そしていま一旦、大阪の実家に戻ってきました。

この生活を通して、残念ながら現時点で岡山で一人暮らしをしていくのは難しいかもしれないという結論に至りました。

住みたいのは岡山県瀬戸内市

主に倉敷市、瀬戸内市、備前市の三つの候補からそれぞれの地域の方にお話をうかがったり、自分でその土地を見て回ったりしました。
その結果、自分が住みたいのは瀬戸内市だなあという結論にいたりました。

理由1:大阪に近い

倉敷市に比べて、ということですが、瀬戸内市はかなり大阪に近くなります。
仕事の関係で月に一回は大阪で打ち合わせの必要があるため、これは大きなポイントでした。

理由2:新たな仕事創出を企業と行っている

富士通エフサス瀬戸内市

地方の仕事といえば、農業。あるいは林業。
そうでなければ、介護系か店舗の従業員でしょうか。

とにかく、地方は仕事の種類が限られてしまいます。
収入の心配のない人ならともかく、越してくる上で仕事は必須です。

そんな中、瀬戸内市では富士通エフサスと組んでリモートワークができる環境を整えようとしているらしいです。

職員さんと富士通エフサス担当者さんのお話も伺うことができたんですが、顔が見えないリスクをうまく回避できるいいやり方だなあと思いました。これから仕事の幅もボリュームも増やしていきたいとのこと。

在宅でできて、さらに都会にいたときと同じような内容の仕事であれば、自分のこれまで培った能力を活かせる可能性が高いのではないでしょうか。

理由3:街の雰囲気が明るい

これは人の明るさとか多さ云々ではなく、文字通り街の雰囲気です。

山が少なく、海に面しているからでしょうか。
とにかく燦々と太陽光が降り注いでいる感じがします。

そして日本のエーゲ海と呼ばれる牛窓からの眺め。
「ここに住むしかない」と思わせるほど、心をつかまれました。

日本のエーゲ海牛窓

けれど、今回は住み移りを断念せざるをえない結果になりました。以下、理由を書きますのでこれから一人で地方に行こうとされている方はよかったら参考になさってください。

意外とかかる地方単身生活費

地方単身生活費

わたしには鳥取に住んでいる伯母がいまして、彼女はこちらに出てくるたびに「物価が高い」と言っていました。
そのため、地方に行くとなんでも安いんだろうと思い込んでいました。

食費

実際、たしかに野菜や果物や魚が安い日、安いスーパーもありました。
けれど、新倉敷というやや都会に住んでいたためか、それほどお得感はなかったです。
逆に、一人分の食費って割高になるなあと今さらながらに思いました。

削ろうと思えばどこまでも削れるんでしょうけど、わたしは食べることが大好きな人間なので(ONE PIECEで言うとルフィとまではいかんけどジュエリー・ボニーぐらい)、食費を削ると心が削れてきます。

ガソリン代

どこへ行くのも車です。車なくして、地方は語れません。
そしてついてくるのがガソリン代。毎日近所のスーパーというのも味気ないし、いろいろ車で行っていると馬鹿になりません。

家賃

田舎の家賃

たしかに大阪に比べて(東京は論外)、家賃は安いです。
というか、同じ条件で見ると圧倒的に安い。

ただ最低でも1LDKからの広い物件が多いので、それなりに綺麗なところに住もうと思うと五万弱はかかります。
駐車場代、共益費、家具家電、最初に不動産会社に払うもろもろのお金などを考慮すると、毎月の支払いに均すとそれなりの金額になります。

水道光熱費

実家ではみんな一緒でエコだった水道光熱費も、ばっちりかかります。
わたしは長風呂が好きなのですが、自分一人のために毎日湯を張るのももったいない。

ガスも都市ガスではなくプロパンガスなので、割高です。

その他の支出

暮らしていく上で必要な主なお金として思い浮かぶのは、家賃、光熱費、食費くらいでした。
けれど、その他のお金がかなりかかる。

たとえば、年金や保険料。
通信費。(今日、格安スマホに変えました)
トイレットペーパーやシャンプー、キッチン周りの日用品もちりも積もれば山となる。

コンタクトとか、皮膚科行くお金とか、半年に一回の美容院とか、地味に効きます。
服なんて、ぼろぼろに破れて糸と化したメディキュットぐらいしか買ってないのに……

自分にこんなにもお金がかかっていたのだということに、今になって気が付きました。

これに加えて子どもを三人も大学まで出した父と母にはもう足を向けて寝られません。
彼らは何なんでしょうか。神様でしょうか。火星人でしょうか。
どうやったらあれだけ働きながら、子育てもして、さらに精神を狂わせずに生きていけるのだろうか。

仕事のこと

地方の仕事

現在、母の会社を手伝うことでバイト代を得ています。
好きなライターの仕事ができるし、フルタイムで働かなくていいので、体に無理なくやれています。

でもそれだけじゃ、じぶん一人生きていくのもままならない。
まして子育てとか一億パーセントむり。
お金の問題だけじゃなく、自分のリズムを乱されることに非常にストレスを感じるので、子育てはどのみち無理でしょうと思っています。

そんなわたしに瀬戸内市のリモートワークは魅力的でした。
自分の体調に合わせて、他の仕事と兼業しながらできるし、得意分野ですし。

一番現実的な方法に見えました。

そして襲う寂しさ

地方移住孤独

倉敷にいるあいだ、ほとんど誰とも話す機会がありませんでした。
知らない土地にひとりで行っているわけだから当然といえば当然ですが、これが思いのほか精神的につらかった。

もともとは大阪のごちゃごちゃした感じと排気ガスから逃れて、静かに作業できる環境を求めて行ったわけですが、朝も昼も夜もひとりでいると、だんだんと頭のなかで自分の声だけが大きくなっていきます。

そんなにすぐに友達ができるはずがないのに、誰でもいいから気を遣わずに話せる人に会いたくなる。

「一人暮らしのリモートワークって、けっこう危険かもしれない」と思った瞬間です。少なくともわたしにとっては。

もともとがすごく寂しがりやなので、一人暮らしには向いていないことはわかっていました。
けれど、いかんせん周りのスピードにまったくついていけないので、家族と暮らしていると日々が常にジェットコースターになり、ときどき爆発してしまいます。

実際にひとりで暮らしていて、世界はわたしだけを置いてどんどん先に進んでいくんだというような恐怖に似た孤独感が襲ってきました。
ウィスキーを飲みながら一人で泣いていると、いよいよ自分が不安定になっているのを感じました。涙腺ゆるゆるになりました。

ゆるやかな住み移り計画を立てるべし

移住計画

今回の一人暮らしは、すごくいい勉強になりました。
一回やってみないとわからないことも多々あるので、すり合わせもできました。

結果、もう少し準備をしていったほうがよさそうだという結論に至りました。

まず、お金の心配を解消する必要があります。
大阪に戻り、もう少し仕事のボリュームを増やすことにしました。

それから、いざ移り住んでも孤立しすぎないように、知り合いを作っておくべきだと思いました。
SNSなどで同じような立場の人と知り合うのもいいかもしれません。

長期間まったくの一人というのは、人間の精神にけっこう打撃を与えます。
一人を好むタイプでも、人は一人で生きていけないのだと思い知りました。

誰か一緒に瀬戸内市に住んでくれないかな……

ひとまず、計画を立て直すことにしましたという報告です。

付け加えておくと、どの市の方もすごく親切でした。情報もたくさんくださって、困ることはほとんどありませんでした。
ここでこれをするんだという明確な目標を持っている方なんかは、挫折しにくい気がします。

いつか絶対住みたいと思いを固めることができました。

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