1gに命をかける京阪百貨店の肉売り場。

毎週火曜日は京阪の日。

京阪百貨店の食材売り場の特売日です。

家事の中で食材買い出し、炊事などを担当する私は、昨日も妹を駅まで送った後、京阪へ出向きました。

目当ては主に肉類。
最近はどこもかしこも値上げで、近所の精肉店で買うのとあまり変わらない値段で京阪のお肉が買えるので、週に一回、4〜5日分を買いだめするのです。

豚肉野菜炒め用300g
豚肉味噌漬け300g
合い挽きミンチ500g
宮崎産水炊き用モモ500g
国内産鶏もも肉4枚
……定番のメンツがどんどんカゴの中に吸い込まれていきます。

長蛇の列をさばいていくパートのおばさんたちの闘志がこちらにも伝わってくるほど。

子育てが一段落し、新たな「やりがい」を見つけた人なのか。
それともやむを得ずここで時間を費やしているのか。
そんなことは私にはわからない。
ただ、皆次々と客の要望を聞き、肉を量っていく。

お見事。

最後に加工肉のエリアに突入。
今日はハムとウィンナーを150gずつ買おう。
100だと足りなくて、200だとちょっと多いんだよなあ。

「ハム、149g入ります。よろしいですか?」
一発でほとんどぴったり量ってくれる。
ハム一枚の重さを考えると、それ以上に150gに近い数字は出ないだろうに、必ず確認してくれる。
近所の精肉店ではそうは行かない。
だいたい20gくらいなら、誤差の範囲だ。
まあそういうのも嫌いではないのだが。

「ウィンナー、153g入ります。よろしいですか?」
またも一発でほぼピタリ賞。
よろしいに決まっている。

そう私に聞くパートのおばさんは、どこか誇らしげに見える。
150gなんて、そう頻繁に出る数字じゃないだろうに。

いや、ひょっとしたら1gの誤差が出たことに悔しさを滲ませてさえいるのかもしれない。

彼女たちの目には、職人の火が灯っているように見えた。

あるいは。
「1gの誤差でも必ず確認するように」
「袋はどんな肉に対しても二重に包装するように」
という厳格なマニュアルに従っているだけかもしれない。

要は私の感じ方次第なのかもしれない。

それでもなんだか気分が良かった。

今晩はハンバーグだな。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

新刊発売中!

できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

『レモンドロップの形をした長い前置き』
著者:田中千尋
販売形態:電子書籍のみ
販売価格:450円(※Kindle Unlimitedをご利用の方は無料で読めます)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。