【長編小説】『空色806』概要・目次

空色806

とりたててこれといった不満があるわけではない。適当な数の友人、いい大学、一流の企業。

左指のない千本朔(ちもとさく)の人生は、客観的に見れば概ね順風だった。

しかし彼女は同時に焦っていた。

歳を重ねるごとに消えてゆく、「今とは違ったかもしれない」自分の未来の可能性。
自分は特別な人間ではなく、自分が見下しさえする他の人間と何ら変わらないのかもしれないという事実。

そして朔は、唐突に会社を辞める。
違和感を解消してくれる何かを待ち続ける日々。

やっと見つけた糸口は、鳥人間だった。
その鳥人間は、朔をもともとは空島の人間だったと言い、そこへ彼女を連れて行こうとする。

おとぎ話のような彼の話を半信半疑で聞きながらも、凡そ人間とは思えないその風貌と、今の人生に対する行き詰まりから、朔は鳥人間の言葉に従う。

到着したそこは、確かに朔の知る地上の世界とは大いに違っていた。
その小さな国には鳥人間がおり、目の欠けた老人がおり、食べたもので色の変わる王女がいた。

鳥人間が朔に伝えたのは以下のような歴史だった。

かつて二人の王女がもたらした演奏により、何かしら尋常ならざる効果が起こり、その演奏を聞いた者たちはある種の催眠状態に陥ってしまった。
彼女たちは引き離され、この国からは音楽が消えた。

(約16万字)

【目次】(随時更新)
第1章「私の中から日々消えていくもの」(王 四十七歳)
第2章(1)「思考は再開されなくてはならない」(朔 二十七歳)
第2章(2)「思考は再開されなくてはならない」(朔 二十七歳)
第2章(3)「思考は再開されなくてはならない」(朔 二十七歳)
第3章(1)「王の決断と奪われた音楽」(王 四十七歳)
第3章(2)「王の決断と奪われた音楽」(王 四十七歳)
第4章(1)「鳥の人の言うとおりに」(朔 二十七歳)
第4章(2)「鳥の人の言うとおりに」(朔 二十七歳)
第4章(3)「鳥の人の言うとおりに」(朔 二十七歳)
第4章(4)「鳥の人の言うとおりに」(朔 二十七歳)
第4章(5)「鳥の人の言うとおりに」(朔 二十七歳)
第5章(1)「双子は引き裂かれなければならない」(王 四十二歳)
第5章(2)「双子は引き裂かれなければならない」(王 四十二歳)
第5章(3)「双子は引き裂かれなければならない」(王 四十二歳)
第6章(1)「暫定的役割としての王と小さな城」(王四十七歳 朔二十七歳)
第6章(2)「暫定的役割としての王と小さな城」(王四十七歳 朔二十七歳)
第6章(3)「暫定的役割としての王と小さな城」(王四十七歳 朔二十七歳)
第6章(4)「暫定的役割としての王と小さな城」(王四十七歳 朔二十七歳)
第6章(5)「暫定的役割としての王と小さな城」(王四十七歳 朔二十七歳)
第6章(6)「暫定的役割としての王と小さな城」(王四十七歳 朔二十七歳)
第6章(7)「暫定的役割としての王と小さな城」(王四十七歳 朔二十七歳)
第6章(8)「暫定的役割としての王と小さな城」(王四十七歳 朔二十七歳)
第7章(1)「生きた臓器としてのピアノ」(キベ七十四歳)
第8章(1)「事件は、何の前触れもなく起きる」(王 四十七歳)
第8章(2)「事件は、何の前触れもなく起きる」(王 四十七歳)
第8章(3)「事件は、何の前触れもなく起きる」(王 四十七歳)
第8章(4)「事件は、何の前触れもなく起きる」(王 四十七歳)
第8章(5)「事件は、何の前触れもなく起きる」(王 四十七歳)
第8章(6)「事件は、何の前触れもなく起きる」(王 四十七歳)
第9章(1)「それは一時的に中断せざるを得ない」(キベ 七十四歳)
第10章(1)「人生があなたを打ち砕こうとする時」(地上の母 ××歳)
第10章(2)「人生があなたを打ち砕こうとする時」(地上の母 ××歳)
第10章(3)「人生があなたを打ち砕こうとする時」(地上の母 △△歳)
第11章(1)「おかえり」(王 四十七歳)
第11章(2)「おかえり」(王 四十七歳)
第11章(3)「おかえり」(王 四十七歳)
第11章(4)「おかえり」(王 四十七歳)
第11章(5)「おかえり」(王 四十七歳)
第11章(6)「おかえり」(王 四十七歳)
第12章(1)「鳥カゴの中で罪を犯す」(キベ 七十四歳)
第13章(1)「とにかくひと揃いの右手と左手がある」(朔 二十七歳)
第13章(2)「とにかくひと揃いの右手と左手がある」(朔 二十七歳)
第14章(1)「歴史の短針を進めるべき時が来た」
第14章(2)「歴史の短針を進めるべき時が来た」
第14章(3)「歴史の短針を進めるべき時が来た」
第14章(4)「歴史の短針を進めるべき時が来た」
第14章(5)「歴史の短針を進めるべき時が来た」
第14章(6)「歴史の短針を進めるべき時が来た」
第14章(7)「歴史の短針を進めるべき時が来た」
第14章(8)「歴史の短針を進めるべき時が来た」
第14章(9)「歴史の短針を進めるべき時が来た」
第15章(1)「雨の日の少女 五年後」
第15章(2)「雨の日の少女 五年後」
第15章(3)「雨の日の少女 五年後」
第16章(1)「音楽をもういちど」(王 四十七歳)
第16章(2)「音楽をもういちど」(王 四十七歳)
第16章(3)「音楽をもういちど」(王 四十七歳)
第16章(4)「音楽をもういちど」(王 四十七歳)
最終章「四本目の世界へ」(朔 二十七歳)

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ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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56 thoughts on “【長編小説】『空色806』概要・目次

  1. 安福健也 より:

    FBでも朔の物語が読めるようになってたんですね!いろんな人の反応を聞くことができますね!

    1. mihirohizuki より:

      安福さん
      そうなんです(^^)読んでもらえるかわからないですが、自己満足の領域から少し踏み出せればと思います。

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