挑戦を続ける人は、いくつになっても若い。『ウィークエンド・シャッフル/筒井康隆』
筒井康隆。
この人の本をまともに読んだこともなく、
なんとなく『旅のラゴス』だけ一回読んで、
うーん、と。
正直なところ、よくわからないな、と。
ただ、結構古い記事なのにブログでたまにアクセスがあるので、ちょっと気にはなっていた。
そして、たまたま図書館で見かけたこの本を、なんとなく手に取った。
ただそれだけ。
ほんのちょっとした、偶然。
その結果、わたしは膝をついて謝ることになる。
もちろん比喩的に、ということだけれど。
その内容は、ふざけているのか、と思うほど奇天烈で、お下品で、グロテスク。
好き嫌いが大いに分かれる作品だと思う。
けれど、どの短編にも強烈な社会風刺が含まれていて、それが明らかにわかるものもあれば、そうでないものもある。
宗教集団をちくちく刺しているかと思えば、高学歴集団が貧乏をする世界を描いたりする。
それらは、「ありえない」せかいであり、「ひょっとしたら」と思ってしまいそうにもなる、絶妙なバランスを保っている。
筒井康隆は、その厳格そうな風貌からは計り知れない非現実を生み出す。
世界を固定しようとしない。
かの『時をかける少女』の著者であり、ラノベにも挑戦している。
御歳81歳とは思えないほどパワフルであり、若い。
精神が、若い。
先日、自身が「最後の長編にして最高傑作」と評する『モナドの領域』が出版された。
これは、もう少しこの人の本を味わってから手を出そうと思っている。
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ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。
文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。
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冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。
『レモンドロップの形をした長い前置き』
著者:田中千尋
販売形態:電子書籍、ペーパーバック(紙の書籍でお届け。POD=プリントオンデマンドを利用)
販売価格:電子書籍450円(※Kindle Unlimitedをご利用の方は無料で読めます)、ペーパーバック2,420円
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