悪いやつにはお仕置きだ『陽気なギャングは三つ数えろ』伊坂幸太郎

大好きな「陽気なギャング」シリーズ9年ぶりの書きおろし!
とはいっても、わたしが初めてこのシリーズに出会ったのは、数年前の図書館でのこと。

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)
陽気なギャングは三つ数えろ (ノン・ノベル)

公務員、カフェの店長、子持ちのシングルマザー、素性の知れない若者。
この四人が銀行強盗グループを組み、さらりと金を盗む。

別に彼らが悪者を懲らしめて金を正当な持ち主に返すというわけでもないし、
彼らが懲らしめられるという話でもない。

正真正銘、彼らは「犯罪者」として描かれる。

けれどその素顔は、憎めない、そして馴染みやすいキャラクターであり、時に同調さえしてしまう。

そしてこれが伊坂幸太郎のすごいところだと思うのだけれど、その世間一般的に「悪人」とされる登場人物たちに、世の中の真理みたいなことを語らせる。
ちくちくっと、人間の「ほんとうのこと」みたいなことを。

そういうのを読んでいると、胸がすくような、すかっとした気持ちになる。

巧い。

話の進め方、キャラクターの特徴(どうでもいいような特徴や癖が、あとあと大事になってきたりするところも)、伏線の回収。

誤解を恐れずに言えば、深くないけど深い、みたいな。

安定感のある楽しさを、いつもありがとうございます。

ようするに、他人に関しては、一場面の行動を見ただけで、性格や人間性を決めつけちゃうってことだよ。裏の事情までは考えない。P19

制服は人に安心感を与える。仕事のためにそこにいると思えるからだ。「なぜ、こんなところに?」という疑問を軽減する。人は納得できれば安心するものだ。 P78

書いた人

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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