世界は、今見えているものだけじゃないんだ『鴨川ホルモー』万城目学

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)』、『鹿男あをによし (幻冬舎文庫)』などで知られる作者。
一言で言ってしまっていいものではもちろんないだろうけれど、どれも日本の歴史が深く関わっている。

そして、その歴史に、一般の人には知られていない秘密があり、それらを脈々と引き継いでいる人々がいる。

デビュー作である本作は、その「秘密」とやらがあまり人類の存在を揺るがすようなものではないのだけれど、それが二作目以降、色濃くなってゆく。

『鴨川ホルモー』では、ホルモーと呼ばれる謎の競技を、京都の4つの大学で競い合う。
奇天烈な設定に、思わず惹き込まれていく。

なぜ読み進めるのをやめられないのか?
この本がそんなにおもしろいのか?
わたしにもわからない。

そして、その感覚は、解説でよく言い表されている。

「すっごくおもしろいんだけれど、これをおもしろいって思う自分って変?」P296

こういうこと。
共感とか、巧さとか、なんだかそう言うの抜きで、ただ、おもしろい。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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