『ブラザー・サン・シスター・ムーン/恩田陸』

「ブラザー・サン・シスター・ムーン」ってのは、
アッシジのフランチェスコの半生を描いた、宗教的題材を借りた青春映画なんだそうで。
アッシジのフランチェスコって人は、フランシスコ会(フランチェスコ会)の創設者として知られるカトリック修道士なんだと。

(Wikipediaより)

そんなことも全然知らないで、恩田陸だからって理由で、手に取った一冊。

高校が一緒だった3人の男女が同じ大学に進学するも、それぞれ違った大学生活を送っている話。

大学生をテーマにした作品を読むと、いつも胸がきゅっとなる。

大学生という生き物は、いったい何なのだろう。

自由を手に入れて、妙に哲学的で、ぐんと大人になったように錯覚しているようだけれど、それでいて痛々しいまでに幼稚。

本人たちでさえ、その奇妙な立場を理解しそびれているような。

きっと、そもそも定義はない。

「大学生」なんていう時間が存在しなかったら。

きっと高校生たちはもっと何も考えずに済むのかもしれない。

広い世界を知ることもなく、不満を垂れることもなく、罪のない無謀な野心を抱かずに済むのかもしれない。

良くも悪くも、大学生とは大人にもなれるし子供にもなれる。

それでも、大学生たちの頭のなかがこんなにも澄み切っているようにみえるのはなぜだろう。

反骨心が見え隠れし、勘違いも甚だしく、それでもまだ諦念を持つには可能性がありすぎる。

「あの頃はよかった」そういう人もいる。

「二度と学生になんて戻りたくない」そういう人もいる。

確かなことは、不可逆的であること。

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ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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