『アルゼンチンババア/吉本ばなな』
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題名からしてインパクトのある小説。
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ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。
文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。 日々のつぶやき2021.08.06当面の間、更新をお休みします。
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ちょっと気になってはいたんだけれど、なかなか手を出せていなかった。
たまたま今回、図書館で見つけたから、借りてみた。
ページを開くと、右に日本語、左に英語ってつくりになっていて、物語自体はそんなに長くはなかった。
はじめのうちは、日本語と英語でどんな風に表現が違うのかが知りたくて、どっちも読んでみるんだけれど、
だんだんと日本語のほうが先行してきてしまって(日本語は少しの文字数でたくさんのことを伝えられる)、ページを行ったり来たりするのになんだか疲れてきてしまって、
それに、吉本ばななを読む時は、彼女のあの独特な日本語を味わいたいのだと思い出し、自分に免罪符を出してしまった。
近所の幽霊屋敷みたいなところにちょっと不気味な女性が住んでいて、街中の噂になっているんだけれど、その人がなんだかんだで自分の生活に浸透してくるってお話。
明らかに世間一般の人とは一線を画していて、それでもどこか魅力のある、いや、麻薬的なところのある人。
彼女の小説を読んでいると、
世の中の大抵のことは、ひとびとの頭のなかで起こっていて、それを外に見せるのはほんの少しずつで、そのほんの少しづつが、いさかいになったり、愛になったりするのかなあと思う。
みんながみんな、頭のなかを全部出して暮らしていたら、大変なことになってしまうだろうなあ。
だって、一人の女性の本の少しの期間の頭のなかを描くのでさえ、一冊の本になってしまうのだから。
そう考えると、今見えている世界の有限性と小ささを思い知らされて、じーんとなってしまうのです。
書いた人
新しい書きもの
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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。
『レモンドロップの形をした長い前置き』
著者:田中千尋
販売形態:電子書籍、ペーパーバック(紙の書籍でお届け。POD=プリントオンデマンドを利用)
販売価格:電子書籍450円(※Kindle Unlimitedをご利用の方は無料で読めます)、ペーパーバック2,420円
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。
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