本当に本当の恋っていうのは『恋しくて』村上春樹

恋しくて
恋しくて
恋しくて
誰かが恋しくてたまらない。
それだけ聞くと、高校生の淡い恋や、結ばれない運命の二人の恋のように聞こえる。
しかし、それが燃え上がるようなものであろうとなかろうと、恋にはパターン化・言語化することのできないそれぞれ固有の色があるようだ。
この本の中に紹介されている恋の中に、誰にでもひとつくらいは自分にしっくり来るようなラブ・ストーリーがあるかもしれない。
大人にも子どもにも起こりうる、「相手に気持ちを伝えることのない」恋。
仲良しだった二人の少年と、一人の少女。
現実と少し離れたところで幸福に存在する若い夫婦の愛。
体の不自由な少女と、水泳コーチ。
壊れかけている夫婦。
微妙な時期を迎えたところで表沙汰になる不倫。
読み終えたわたしは、愕然とすることになる。
「なんてことだ、わたしはぜんぜん、本当の恋なんてしたことがないんじゃないか」
つまり、一つとして「自分の物語」がなかったのだ。
そういうわけで、わたしの人生はまだまだ鮮やかになる余地があるということになる。
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ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。
文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。
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