『時間旅行は可能か?―相対性理論の入り口/二間瀬 敏史』

タイムマシンの夢

バック・トゥ・ザ・フューチャーや、ドラえもんで、誰もが一度は思いを馳せたことのあるテーマだろう。

「過去に戻って、未来の技術を伝える」
「過去の賭け事の結果を持って、大金持ちになる」
「ずっと先の未来の世界を垣間見てくる」

そんなありえないようなことが、映画や漫画の世界ならではの展開で、私たちを楽しませる。

自分だったらこんなふうにタイムマシンを使うだろう。と、妄想するだろうか?

いやいや、ありえないことを考えるのに時間を費やしたくはない、と一笑に付するだろうか?

タイムマシンは、存在するのだろうか?

そう、本書では、こんな問いが繰り広げられるのだ。
ここではタイムマシンの存在は、あり得るものとして描かれる。

三次元で表される空間に、時間という概念が加わり(時空)、そこに重力が加わる。
その時に出来る時空のひずみを利用して、タイムマシンが出来上がるというのだ。

しかも、それが一般相対性理論を用いて、さらに物理学の因果律も量子力学の法則も視野に入れながら可能性を探っているところがおもしろい。

あくまで可能性の領域を出ない話だし、人間が通り抜けられるタイムマシンの実現には膨大なエネルギーが必要だとのことだが、
それを物理学的に、実現可能性やリスクヘッジ、パラドックスの存在などを加味して語られているから、途端に現実味を帯びてくる。

高校生の時、物理学の授業が相当に好きだった自分を思い出した。

最も文系に進んだものだから、物理学の入り口しか見なかったわけだけれども。

そんなわけで、タイムマシンって、私たちが知りうるものと形は違えど、そう遠くない将来に実現されうるものなのかもしれないと感じさせてくれた本だった。

科学の進歩も人間の欲望も、社会を消費させるものでしかないと思う最近の私でしたが、
相当に前のめりになって読み込んでしまった本でした。

ブログ運営者

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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