大人たちは忘れてしまう『遠い声 遠い部屋』トルーマン・カポーティ

いまここから見えている世界。
世界とのつながり。
つながりが断ち切られることへの不安。
曖昧なつながりは、確かな感覚を残してはくれない。
そんなときにもし、血のつながりの可能性を提示されたら。
そこに向かわないわけにはいかないのではないだろうか。
特にそれが、子供である場合には。
小さな記憶さえない父親を探して、ジョエル少年はヌーン・シティを訪れた。
そこへは、バスも汽車も通じていない。
迎え入れた「大人たち」は、真っ直ぐで傷つきやすい少年を扱うには、あまりに未熟で幼稚な面々に見える。
大人とは、こんなものであろうか?
始終なにかをごまかし、認めず、それでいて、もはや守られる存在ではない。
それでは大人とは、「他人を守ることのできる存在」のことを言うのか?
いや、わたしたちの大半は、自分を守ることさえままならないのだ。
早く大人にならざるを得なかった一人の少年の、美しく切ないひとひらの物語。
書いた人
-
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。
文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。
新しい書きもの
小さなお話2021.04.20給湯室のキメラ[小さなお話69]
言葉の切れ端2021.04.17よしよしよしよし[言葉の切れ端220]
言葉の切れ端2021.04.14君を不幸にする要素[言葉の切れ端219]
言葉の切れ端2021.04.11民のために水をせきとめた手は[言葉の切れ端218]
新刊発売中!
できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。
『レモンドロップの形をした長い前置き』
著者:田中千尋
販売形態:電子書籍、ペーパーバック(紙の書籍でお届け。POD=プリントオンデマンドを利用)
販売価格:電子書籍450円(※Kindle Unlimitedをご利用の方は無料で読めます)、ペーパーバック2,420円
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。
『レモンドロップの形をした長い前置き』
著者:田中千尋
販売形態:電子書籍、ペーパーバック(紙の書籍でお届け。POD=プリントオンデマンドを利用)
販売価格:電子書籍450円(※Kindle Unlimitedをご利用の方は無料で読めます)、ペーパーバック2,420円