脳なんて余計だ『ガラパゴスの箱舟』カート・ヴォネガット

脳なんて余計だ『ガラパゴスの箱舟』カート・ヴォネガット

ガラパゴス諸島。
そう、かつて日本の携帯電話がそう呼ばれたのだ。

他の影響を受けないままに独自の進化を遂げたものたち。

そこには天敵から身を守る、あるいは天敵そのものになるという進化の形態を取らずに、別の効率性を持った進化を遂げた生き物たちが生息する。

そう、進化とはいわば、種の保存と個の生存の両面から見た効率性の言い換えなのだ。

効率性の観点から見て、我々人類の脳は理にかなったしろものなのか?
カート・ヴォネガットは我々に問う。

百万年前、できるだけたくさんの人間活動を機械に譲りわたそうとしたあの謎の熱狂について−これこそ人間が自分たちの脳はまったくのできそこないであると認めた、その証拠のひとつでなくてなんだろうか?P55
 
これだけの長い歳月のあとでも、まだわたしは自然界の秩序に激しい怒りをおぼえる。百万年前の巨大脳のように、うるさく、的外れで、破壊的なしろものの進化を許したことにだ。もし、あのしろものが真実を語っていたのなら、みんながそれを持っていたことに意味を認めてもいい。だが、あのしろものは、しょっちゅう嘘ばかりついていた!P224

ガラパゴスの箱舟

彼はSFの形を借りて、我々を斜め上から見ている。
そこに嘲笑や冷たさはない。
悲しみすらない。

おそらく、我々の感情を超えた流れの中で、静かに眺めているに違いない。