世界は目を覚まし始めている『グレタ たったひとりのストライキ』

16歳の気候活動家。本の紹介にはアスペルガーとも書かれている。
つまり秀でた能力を持った人ということだ。

本の中では、グレタが環境問題に取り組むようになるまでの家族のこと、そして彼女自身の活動が主に母の手によって書かれている。

グレタの母親は世界的に有名なオペラ歌手のようで、グレタは有名人が環境問題に対する活動(わかりやすい人道支援ではなく)をする意義についても問いている。

彼女の言葉は無駄がなく、鋭い。
攻撃的、と攻撃されるほどに。

彼女の言葉には嘘がない。
多少の偏りはあるけれども、彼女は世界を変えようとしているのだ。

ひとつのことを、偏りのある言葉で伝え続けてやっと伝わるかどうかだろう。

そして彼女の言葉に「ぎくり」とした人は、誹謗中傷、あるいは楽観主義的発言、もっと悪くすると持続的経済成長を後ろ盾にしたもっともらしい言い逃れを続けている。

我々は彼女を誹謗中傷などさせている場合だろうか。

アスペルガーという傾向は、彼女の知識や行動を後押ししているのだろう。
彼女も、彼女の家族も、闘っている。

自然を守る闘いは、人間との闘いになる。本の中で引用されている言葉だ。

アスペルガーは病気などではない。
そうさせているのは社会だ。
彼らは、新しい人類の形なのだ。

人類が生き残るとしたら、彼女たちのような人間に進化するしかない。

やっと、やっと彼女たちが出てきてくれたのだ。

耳を貸さない人間は放っておけばいいのかも知れない。
彼らはどのみち、次の時代には絶滅しているような人たちなのだから。

けれど、わたしたちが、彼女たちがこれからも生きていく地球を壊す行為を看過するわけにはいかない。

グレタは言う。
「既存のシステムの中に解決策はない。私たちは根本的なシステムの変更を要求している」と。

さて、それではわたしたちは資本主義が崩壊するのを待つしかないのか?
あるいはほんのささやかな抵抗として、不買運動でも起こすしかないのか?

今いちばん大事なのは多分、彼女を死なせないこと。

それから、どこかの誰かから「具体的解決策」が提示されるのをぼんやりと待つのをやめること。

わたしたちに今できることは、とにかくいろんなことをやめることなのだ。
それができないなら、生きることをやめてしまうしかない。
さもなくば、彼女たちの生きていく地球を奪ってしまうからだ。

動物は声をあげない。
自然も声をあげない。
それをいいことに、政治家たちは彼らを無視してきた。

やっと人間が声をあげ始めたのだ。
ブームで終わらせてはいけない。

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ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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