風変わりでなみはずれた一族『塵よりよみがえり』レイ・ブラッドベリ

作者がひいきにする登場人物たちというのがときどき存在する。

本書に登場する「エリオット一族」は作家に愛された人々だ。
彼らは人間ではないけれど、みずみずしい永遠の生命を持ちながら同時に死ととても近いところにいる。

相反するように見えるそれら、永遠の生と死はほとんど同義と言ってもいいのかもしれない。

選ぶものでも求めるものでもない。
ただそのように生まれついた彼ら。

切なくもあり、うらやましくもあるのだ。

彼らは昼にねむり、夜に活動する。

幽霊なのか? そうかもしれない。
彼らはなみはずれているから、ひとくくりに形容する言葉を見つけることができない。

共通しているのは、彼らはとてもとても長く生きていること。

一族の中でひとりだけ人間だった男の子は、彼らのようになりたいと願った。

それは幸せなことなのだろうか?
多くを知り、抱えきれないくらいの思い出を持ちながら生きること。
神や幽霊を否定し始めた人々に、もう一度思い出させること。

そして最後、彼は「ひい」が千回もつくおばあちゃんを抱えてある場所へ向かったのだ。

作家が貧乏時代に無理をして購入した絵をもとに描かれた表紙も見ものである。

The following two tabs change content below.
ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

新刊発売中!

できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

『レモンドロップの形をした長い前置き』
著者:田中千尋
販売形態:電子書籍のみ
販売価格:450円(※Kindle Unlimitedをご利用の方は無料で読めます)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。