理解しない本読み ‘what we talk about when we talk about love’ RAYMOND CARVER

読書をする。

ああ、いい本だなと思う。

なぜいい本なのか?
ストーリーの筋立てが秀逸だから?
表現が巧みだから?
わたしたちが普段言葉にできない深い感情を言葉にしてくれているから?

レイモンド・カーヴァーを原文で読むということは、そういう意味における読書には含まれない。

作家の村上春樹氏が翻訳したことで、日本でも知られるようになったレイモンド・カーヴァー。

村上春樹氏はわたしの最も敬愛し、繰り返し読む作家の一人なのだけれど、彼の訳したレイモンド・カーヴァーの作品は苦手なものが多かったように記憶している。

小説、特にこのように日常を斜めから切り取ったような作品に意味を求めることがお門違いであることはわかっている。
けれど、読んだあとの「かたいガーゼが喉に詰まっている感じ」が好きになれず、再読したい作家にはならなかった。

先日、Book Depository: Free delivery worldwide on over 20 million booksという洋書の通販サイトでまとめて本を買う機会があり、ついでに彼の作品の中で一番好きだった本書を買ってみた。

結論から言う。
もし今からレイモンド・カーヴァーを読もうという人がいたら、ぜったいに原文で読んでほしい。

村上氏の訳はもちろんいい。
乾いたテイストや、愛と諦めが混じったような疲れた感じもよく出ている。

けれど、レイモンド・カーヴァーの作品は日本語にはなじまない。

冷たい指で自分の心臓を直接押されて、それに呼応してわたしの心臓は余計に温かい血を送り出そうとする。
そんな体験ができるのだ。

書いた人

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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