『マスカレード・ホテル/東野圭吾』

「変なやつを相手にするという点では、警察とホテルマンは似ているかもしれない。いや、それ以上だ」

きらびやかな一流ホテルには、今日も様々な仮面を被ったお客様が訪れる。
ホテルマンは、そのお客様の仮面を決して剥がそうとせてはいけない。
お客様の仮面舞踏会の興趣を削ぐことなく、無事に出立を見届けるのがホテルマン。

きらびやかな一流ホテルには、仮面を被った犯人が潜む。
警察は、客や従業員に紛れたそいつの仮面を剥がさなければならない。
目の前にいる人物を、まずは疑ってかからなくちゃいけない。

「大切なお客様をお守りするため」
「善良な市民を凶悪な犯人から守るため」

一見して同じようで、全く違った双方の信念がぶつかる。

自身の正義を守るほど、一方が立たなくなる。

ホテルで殺人事件が起こるとしたら……?

ホテルマンとして潜入捜査にあたる刑事はどう行動するか。
ニセのホテルマンに扮する刑事の教育係は、どうホテルマンとしての意地を保つのか。

ホテルに泊まる人物は、誰も彼もが怪しく見える。
小さな事件はホテルマンにとっては日常茶飯事。
けれど、今回ばかりはそれが凶悪事件の尻尾かもしれない。

東野圭吾の物語の紡ぎ方は、天才的だ。
あらゆるところに伏線が散りばめられている。
どれひとつ欠けても真相にはたどり着けない。

ひとつひとつのピースをはめていく快感が、味わえる。

久々に一気に読破してしまった一冊。

The following two tabs change content below.
ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

新刊発売中!

できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

『レモンドロップの形をした長い前置き』
著者:田中千尋
販売形態:電子書籍のみ
販売価格:450円(※Kindle Unlimitedをご利用の方は無料で読めます)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。