周りは敵ばかり?『ほんとうの味方のつくりかた』松浦弥太郎

あなたには「味方」がいますか?

それは他人だけではなくて、自分の中にもいるもの。

そして、無条件にではなく、自分が徹底的に相手、もしくは自分の中の自分の味方になることではじめてその存在に気づくもの。

松浦弥太郎さんの生き方は、とても整理整頓されている、ように思える。
それはつまり、彼なりの哲学を持ち、それをしっかりと長期的に実行しているからこそ出てくる、信頼に似た形をした生き方ではないだろうか。

だから、この人の言葉はとても正しい。
あるいは、人生のどん底にいる人の心を溶かすことや、地下深くを覗き込んでいる顔を上げさせることはできないかもしれない。

それでも、当たり前のことを、しかし多くの人が何らかの理由をつけて実行できていないことをこの人はしっかりとやっていて、それを押し付けるでもなく優しく教えてくれる。

この人の言葉に納得できないところがあれば、自分のほうがひねくれているのではないかと思えてくるくらい、言葉がシンプルで正しいのだ。

正しさ。
それはしなやかさと強さのことなのかもしれない。

敵からは学ぶことや教えてもらうことがたくさんあります。違う言いかたをすれば、敵というのは「現実」という名の味方なのだと思います。P28

僕は長い間、フリーランスで仕事をしてきましたから、自分を一つの商品としてブランド化することをとても大切にしてきました。そんな僕にとっては突き詰めれば、理念とは、この先どうやって食べていくかということに直結することでした。P55

フリーランスという生き方は、彼という人間そのものを「他人からの評価」という土台に晒し続けることになったろうし、その暮らしの中で心身の健康を保つために育まれてきた哲学は、だからこそ多くの人に気づきと納得を与えてくれる。

限りなく素直になるということは、とても単純で簡単そうですが、じつはとても重要でむつかしいことなのです。限りなく素直であれば、本当にそれだけで、いろんなことが味方になってくれるでしょう。P60

運は思う通りにならないというのは間違いです。本当は、自分で使い分けることができるはずなのです。「運」を「味方」にすることは可能なのです。P182

素直になりなさい、と彼は言う。
でもおそらく、この本を読んでふむふむと思える人は、もうはじめからとんでもなく素直なのだと思う。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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