『夢違/恩田陸』

「人間の夢を可視化する」ーー

そんな未来が、あり得るかもしれない。

人間の身体の仕組み、宇宙の構成要素、小さな小さな微生物。

どんなものも「目に見える」ものにしてきた人類が、ついに夢を可視化する技術を開発した。

その中で、「予知夢」を見るある女性に世間の注目が集まる。

その女性が見る夢は、いつも悪い夢ばかり。
それでも、彼女は何とか夢を変えようと夢を可視化し続ける。

それも、十年前のあの事故が起こるまで…
彼女にはあの事故が見えていなかったのだろうか?

そして、彼女の死後十年が経過しているにもかかわらず、あちらこちらで起こる不思議な「夢事件」。

事件が起こる場所にはある共通点があった。

彼女は生きているのか?

かなり分厚い本だったが、図書館で一気に読んでしまった。
気が付くと閉館15分前。
奇怪な「恩田ワールド」に見事に引き込まれてしまった。

「本当に言ってはいけないことは、人は言わない」

背筋がゾッとするような体験。

私は夢をたくさん見る方だけれど、あまり正確に詳細を覚えてはいない。
その夢が可視化できるとしたら…どうだろう。

自分の夢を知ったところで、現実がどうなるわけでもない。
けれど、ときたまこう思うことがある。

今現実だと思っている世界のほうが、本当は夢なんじゃないか?
現実を現実だと認識している私たちの脳は、一体どれほど信用できるものなのか?

人間の根本を覆されるような気分だった。

ただのSFと侮る無かれ。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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