『すべて真夜中の恋人たち/川上未映子』

「天才が紡ぐ繊細な物語に超感動、美しい表現はもはや言葉の芸術」
この太田光の推薦文に惹かれて買ったようなものだ。

ちょっと変わった女性校閲者のお話。

けれど、こういうことってきっと誰にでもある。

変わってない人って、普通の人って、何なんだろう。

人類の平均値を全部持っている人がいるとしたら、きっとその人はもう人ではない。

みんなちょっとだけいびつ。

だから、その人は誰でもないその人でいられる。

ちょっとよしもとばななに似ているな、と思った。
一人称を「わたし」とひらがなで書く女性に共通している何かがある気がする、と言って、共感してくれる人はいるだろうか。
いつも物事の奥を見ているようで、何も見ていないようで、もろくて、強くて、繊細である。

けれど、ものすごく自分に素直で、それは気持ちを行動に移すかどうかという問題ではなくて、とにかくちゃんと自分の声を聞いているということなのだ。

主人公の女性の独白には、きっと誰もが共感できる部分が含まれているはずだ。

甘くもない、燃えるようでもない、悲劇的でもない。

けれど、儚くて切ない恋の話。

恋愛小説はアレルギーがあるのだけれど、これはいけた。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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