『きみはポラリス/三浦しをん』

2005年に直木賞を受賞し、2012年には『舟を編む』で本屋大賞を受賞したという、大物作家の三浦しをん。
彼女の作品の中で、ひときわ表紙が美しいものがいくつかあるが、中でも気になっていたのが本作品だった。
「恋愛短篇集」と位置づけられた本書には、実にあらゆる形態の愛のあり方が登場する。

この世に一つとして同じ愛の形はない。
そうは言っても、私にはぼんやりとした同じイメージがいつも想起される。

高校生だか大学生だかの男女が、夏に浴衣を着て花火を見に行ったりする。

就職して、お互い離れ離れになって気持ちが離れてしまったりもする。

それでもタイミングと気持ちが重なって、適当な年頃に結婚する。
幸せだ、と本人たちが思い込んでいれば、特に問題はない。

そうして、子供を産んで、喧嘩しながら二人で支え合っていく。
それが愛なんだと。

この本を読んでいると、「恋」だとか「愛」だとかいう定義そのものが揺らいでゆく。

その気持ち向くの対象。
二人(ないしは三人、または一人と一匹)を取り巻く環境。
見える世界の違い。

きっとそれは、どうしようもなく止められないことで、決まった形はないのだろう。

「結婚」というものをしたいがための結婚なんて、するものか!と思っているけれど、周りの女の子には案外そういう人が多い。

いわゆる世間で言われている「恋愛」をテクニック的に身につけている人でなければ、そういう器用なことはできない。

私は随分と恋愛に無頓着に生きてきたから、「この人だ!」と思う人が現れない限り、のんびりと一人で本を読んで暮らそうと思っている。

人生どんなに計画を立てていても、何が起こるかわからない、というのは、結構すごいことなのだと思う。

病気とか、仕事とか、恋愛とか。

計画は、崩されるためにあるのかなぁ。

The following two tabs change content below.
ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

新刊発売中!

できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

『レモンドロップの形をした長い前置き』
著者:田中千尋
販売形態:電子書籍のみ
販売価格:450円(※Kindle Unlimitedをご利用の方は無料で読めます)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。