『蛇にピアス/金原ひとみ』

ぐろてすくで、到底理解しがたくて、何だか吐き気さえもする。
痛みでしか生を実感できない。

けれど、そこには紛れもなく生々しい人間の姿がある。

テレビの中の人びとが思い描くことのない、テレビの前の人びとも思いもよらない、けれどいつの間にかちゃんとそこに足を踏み込んでいるような、そんな世界。

生きることにしがみつくことが正義なのか。生きることを放棄することが潔さなのか。

誰にもわからない。

けれど、人はそうするしかないからこそ、そうしてしまうのだ。

あまりこの本の主人公とは仲良くなれなさそうだけれど(わたしは痛いのがきらいだから)、彼女は、そうしてまでも自分の存在を確かめたかったのかもしれない。

心を病んだ人のリストカットのお話よりも、やけにリアルに胸に入り込んでくるのだ。

寡作な作者の著書を読む機会はもうあまりないかもしれないけれど、ちょっと未成年の女の子が書くような話じゃないよなぁ。と、旋律を覚えるのであった。

ブログ運営者

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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