『グラスホッパー/伊坂幸太郎』

人が死ぬのはあまりすきじゃないから。
という理由で避けていた一冊。

「バッタ」というそのタイトルからは想像もできないような血みどろ世界。

伊坂幸太郎は、こういった「コードネーム」みたいなのをよく使う。

『マリアビートル』でも、檸檬と蜜柑っていうコンビの殺し屋がいたしね。
名前はすごくかわいいのですが。

ただ、こういう作品は、わりと現実としてこういう世界(またはそれに近しい世界)が存在して、普段のうのうと暮らしている私たちも、ふとした拍子でそんな世界に足を踏み入れることがあるかもしれないということを教えてくれている気がする。

けして、みんなを騙して自分がいい目を見てやろうという人ばかりがここにいるんじゃないんだと。

法も警察も守ってくれない弱い人達を、無法者たちのやり方で守るんだ、と。

もちろん、そこには論理が通じない狂人も多く存在する。

「人は、危ないかもしれないとわかっていても、なぜか自分だけは大丈夫だと思っちゃうんだよな」

頭でわかっているのと、身体全体で「危険」を嗅ぎ分けるのとは違う。
現代の人間は、そんな嗅覚が衰えているのかもしれない。

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ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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