『ナミヤ雑貨店の奇蹟/東野圭吾』

東野圭吾氏にしては珍しい(?)、まったく人が死なないシリーズ。

ナミヤ雑貨店を営むおじいさんが、郵便受けに投函される「悩み事」を書いた手紙に返事を書き、翌朝牛乳瓶の箱に入れておく。
そんなささやかで他愛ないやりとりが時代を超える。

郵便受けは、そして裏の牛乳瓶の箱は、今どの時代と繋がっているのだろう。

そうして、そこに関わる人たちは、今この時代をどのように生きているのだろう。

「自分のアドバイスは、曲がりなりにも役に立ったのだろうか」
そう思索する雑貨店の店主に、未来からお礼の返事が届く。

それにしても、東野圭吾は話の作り方が天才的だ。

伏線、複数の人々のつながり、そして最後に溢れ出るように明かされるささやかな謎の集まり。

その全てがかちりと清々しくはまる。
彼の本を読むと、数学の美しさを思い出す。

この頻度でこれだけのクオリティの本を出し続けられる彼は、間違いなく天才なのだと思う。

個人的には、心で読みたい時ではなく、頭で読書をしたい時にとく彼の本を読むことにしている。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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