『Story Seller 3』

「面白いお話、売ります。」

表紙に書かれたこの文句も、見慣れたものだ。
読み切りの短い物語を、七人の作家が順繰りに書いている。

それぞれに特徴のある作家たちで、どの人もそれぞれに個性がある。

『Story Seller』には、まだこの続編も存在する。

通勤途中に、寝る前に、お昼休みに、一話ずつ読んでいく手軽さが受けているのだろう。
すっかり恒例になった感がある。

正直言って、苦手な作家のものもある。

けれど、普段偏りがちな作家の好みに新しい風を吹かせてくれる。

少なからず、彼らの世界観を覗くことができる。
どんなに違った内容の作品を書いていても、作家にはそれぞれも持つ空気感というようなものがあるように思う。
そこ空気を、少しだけ吸うことのできる気軽さ。

本を読んでいる時って結構頭を使う。
ぐるぐるとストーリーが展開し、それを頭のなかで自分なりに映像化したり、心に刺さる言葉を自分の毎日と重ねあわせてみたり。

こんなことを言っては失礼かもしれないけれど、そんなときにこの本はいいティーブレイクになる。

読書、とひとくちに言っても、実は結構いろいろな楽しみ方のバリエーションがあるのだわ、と今更ながらうれしくも思ったのだった。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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