『小暮写眞館/宮部みゆき』

宮部みゆきといえば、こてこてのミステリー。

そんな印象を持っている人も多くないはずだ。

かくいうわたしはミステリーが苦手で、宮部みゆきの作品はあまり読んだことがない。
模倣犯〈上〉』とかね。

けれど、彼女の作品には、そうでないものもある。
ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)』は、まだ読んでいないけれど、読みたいと思って買ってある。

どうしてこんな風にがらりと違った物語を書くのだろう?

その答えは、解説の中にあった。

著者自身、人を殺したり、犯罪がらみの物語ばかりを書いていると、反動が来るそうだ。
それはきっと、書いた人にしかわからないけれど、揺り戻しというか、そういうもの。

そうなると、もう重たいものは書けなくなるのだという。書かないのではなく。

それで、こんな作品になるのだと。まるで陽だまりに駆け込むような。

舞台はとある写真館。
先代の店主が亡くなり、古くなってしまった写真館を、物好きの一家が買い取って住みだす。

ひょんなことから、心霊写真の謎解きをするようになる主人公。

彼の周りには、傷ついた人や、彼自身が傷ついた過去がある。

それは特別なものではなく、「よくあるとまでは行かずとも、誰にでもふりかかる恐れのある不幸」だ。

人は、そういう一つひとつをうまくこなしていかなきゃならない。
克服しなくても、けじめをつけて進んでいかなきゃならない。

カバーにあるように「号泣」しなかったのは、わたしの感受性の問題だろう。

最近泣けなくなってきたのが、ちょっと切なくもある。笑

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ことば、文字、文章。 それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。 文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。 そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。 私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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