『はじめての文学/村上春樹』

「村上春樹は難しい」
そういう人の真意は、難解な日本語やロジックの組み立てによるそれというよりもむしろ、「結局のところ何が言いたいのかわからない」ということだと思う。

彼の短編小説は、特にその傾向が顕著に現れる。
「は?」
となる気持ちもわからないではない。

そこをうんたらかんたら紐解いて分析する書評家の先生もいれば、
わたしのように、なんとな〜〜〜くの雰囲気に身を委ねて快感を得る読者もいるだろう。(ちょっと気持ち悪いでしょうか)

今回の作品集は、『はじめての文学』とされているだけに、とりわけ若い年齢の人々にむけて選ばれた作品らしい。
彼の作品は、読み解こうと思えばどうとでも深く読み解ける。
それほど可能性と示唆に満ちている。

けれど、これを子どもや、思春期の人が読むとどうなるのだろう。
もちろん個人差はあるだろうけれど、わたしは不幸にも高校を出るまでは彼の作品を読んだことがなかった。

村上作品の魅力は、同じ内容でも、読む時の自分の年齢、精神状態などに大きく左右されて、感じ方や入り方が変わってくるところにある。
もう時は巻き戻せないけれど、登下校でさえ歩きながら本を読んでいたほど本が好きだったわたしが、あの頃村上春樹を読んでいたら……

とても気になる。

投稿者プロフィール

ちひろ
ことば、文字、文章。
それはとても恐ろしいものでもあり、うんと心強い味方でもある。

文字はマンガに劣り、写真は動画に劣ると言われる時代で、文字の集積だけがもたらしてくれる「情報」以上の無限の想像のための余白。
そんな文字の持つ力に心躍る方がいたら、ぜひ友達になってください。
私はそんな友達を見つけるために、物書きをしているのです。

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できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。
冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。

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