夢追い人

“I have a dream.”
キング牧師は言った。

「そうとも、俺には夢があるんだ。」
誰かが言った。
夢のない人生なんて、キングのないトランプだ。

俺は夢を追うんだ。誰が、なんと言おうと。
俺の人生は未来にあるんだ。今を生きるヤツにはわからない。
この部屋からあの空へ飛ぶ日を夢見て。

空を、雲ひとつない空をじっと眺めていると、空が近づいてきた。自分がそこに含まれているかのように錯覚する。
さらに目を凝らすと、白くて小さなものが無数にひらひらと飛んでいる。これらは、夜には空を埋め尽くす星になるのかもしれない。

そこに一羽の鷹が飛び込んで行った。彼のおかげで、僕は空との距離を思い出した。いや、思い知った。
いつかまた、空に近づいてやるんだ。
あの大空を羽ばたく鷹のように。
俺は世界を見下ろし、悠々と国々を越える。
国境に縛られる人々をあざ笑うかのように、飛ぶんだ。

窓の外を眺めながらそんなことを考えていた。
突然、目で追っていた鷹が視界から消えた。
あれ、どこに行ったんだ?

少し窓から離れて気がつく。
あれは鷹なんかじゃなく、窓を伝う一匹の羽虫に過ぎなかったのだ。
「そうか、お前もまだ飛んではいなかったんだな。」
いるはずもない鷹にそう慰めをかけ、俺は眠りについた。
目を閉じるとそこはもう夜で、地球ほどの惑星たちがちらちらとまたたく。

夢、ゆめ、dream……

夢:
1,睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。
2,将来実現させたいと思っている事柄。

俺の現実は眠っている間に起こる。

星空

あとがき

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